1947-10-07 第1回国会 参議院 司法委員会 第31号
從つて現行刑法において第九十條及び第九十一條が外國の元首、大統領、使節に対する暴行、脅迫、侮辱等について特別な保護規定を設けてあるのでありまするが、新憲法の精神に副うて今囘刑法の一部を改正するに当りまして、一般人に対する暴行、脅迫、名譽毀損等の刑罰を引上げまして、個人の生命、身体自由、名譽等の基本的人権を侵した場合に、刑法においては從來よりも重くこれを処罰するという趣旨の下に改正案を立案いたしたのであります
從つて現行刑法において第九十條及び第九十一條が外國の元首、大統領、使節に対する暴行、脅迫、侮辱等について特別な保護規定を設けてあるのでありまするが、新憲法の精神に副うて今囘刑法の一部を改正するに当りまして、一般人に対する暴行、脅迫、名譽毀損等の刑罰を引上げまして、個人の生命、身体自由、名譽等の基本的人権を侵した場合に、刑法においては從來よりも重くこれを処罰するという趣旨の下に改正案を立案いたしたのであります
しかしながらこの點が、先ほど申しましたように、刑法が改正せられまして、暴行、脅迫、名譽毀損等についての保護規定が、刑が非常に高められましたので、たとえ一般國民と同樣な保護という建前をとりましても、この外交使節の生命、身體、自由、名譽に對する保護においては、何ら缺けるところがないものであろうと考えまするので、その點は國際間において、よく削除した理由——削除した曉においても、外交使節に對しては改正刑法をもつて
○佐藤(藤)政府委員 各國の立法例を見ますると、外交使節に對して暴行、傷害あるいは名譽毀損等の罪を犯した者に對しては、特別なる規定を設けて刑法上これを保護しておるのであります。ところがその規定を詳しく檢討いたしますると、國々によつてその規定がまちまちなのであります。暴行についてのみ規定をしておる國もあります。あるいは侮辱についてのみ規定しておる國もあるのであります。
刑法の一部を改正する法律案の起草者は一般人に對する暴行脅迫、名譽毀損等の罪を加重しておるからして、十分處罰をなし得る、これをもつて賄えるという見解をとつておられるのでありますが、國際法上は、被害者の本國は加害者の政府に對し特に重く罰することを要求する權利がありまして、その場合特に重く罰する義務がその國にあるのであります。
その點につきましても、前囘佐藤司法次官から申し上げました通り、暴行、脅迫、名譽毀損等の刑を引上げまして、その趣旨を明らかにしたつもりでございます。
こういう趣旨から、各國の刑法においてその一部について特別なる規定を設けているのではなかろうか、かような見方をいたしておりますので、刑法を改正するにあたりまして、現行刑法の暴行、脅迫、名譽毀損等について、現行刑法よりも重い刑罰を科し得るように、現行刑法を改める以上はさらにそれ以上外國の君主、大統領、使節に對して、特別な保護規定を設けるには及ぶまいというふうな、結論に到達いたしたのであります。
刑法の一部を改正する法立案の起草者は、一般人に對する暴行、脅迫、名譽毀損等の罪を加重しておるがゆえに、十分の處罰をなし得るという見解をとつておられるでありましようけれでも、國際法上は、被害者の本國は加害者の政府に對し、特に重く罰することを要求する權利があり、その場合特に重く罰する義務があるのであります。